音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

妖艶の森

イメージ 1

そこはあまり近づかないほうがいいといわれている森


湖の畔にある森である


まっしろな 深い霧でおおわれている


まわりのけしきはみえないが 森の中へはいってみた


ゆくてを さえぎるのは まつ毛に付着する水滴だけ


わけのわからないまま どんどん おくにすすんでいくと


とおくから時計台の鐘の音がきこえてきた


すると めのまえに 白いパイプでできた


病室にあるような 粗末なベッドがぽつんとあらわれた


こんどは ゆびをめちゃくちゃに動かしてふいているような


ひゅるひゅるという リコーダーの音がきこえてきた


すると しろい服をきた女性があらわれた


ぜんまいでうごくの舶来人形のようでうつくしく


色仕掛けの瞳でまばたきして


こっちむいて手招きしているようにみえる


ぼくはベッドにあおむけになった


そらには 艶かしき つきが くろいくものあいだから かおをだしている


ぼくはここちよくなって 目をとじた


からだがバラバラになって おちていくのがわかった