音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

キスの日

部屋の灯りを消してからキスをして 眠っているときにキスをして 笑っているときにキスをして 笑点を見ながらキスをして 幽霊屋敷でキスをして キツネにつままれながらキスをして 息止めて酸欠状態でキスをして 風邪の日はマスクの上からキスをして 救急車の…

青年よ神輿を担げ

映画監督のあたまのなかにはすでに映像がながれている カメラ女子が被写体を探しているときの目にぐうせん僕が写る 朝陽が昇ると同時に 恋人はキスをする おたがい3回づつまばたきをした きょうも晴れ 私含め神輿を担いだことのない青年が増えている 青年よ…

泣きたいのにうまく泣けないぼく

あたたかい場所 すこし眠くなる 生後20歳になる赤ちゃん が泣いている ウソ泣きかどうかわからないけど 公園のベンチの木漏れ日が眩しくて まばたきできないでないている はいはいしてたら迷い子になった 森のなかで 背伸びして しゃがんで でんぐり返りしし…

リスト

見てしまってはいけないもののリストにあなたの日記帳があるように それからというもの秘密を知ってしまったぼくは 食べてしまってはいけないもののリストにトリカブトや毒キノコがあるように、 笑い茸を食べてしまったぼくは 顔がニヤけて微笑みがとまらず…

13日の金曜日

ホコリのたまった古本を一冊づつ紐といていくと 活字のなかに愛が生きてまだ息をしていた ロビンフッドの章のページを開くと、みどりの文字に羽が生えて妖精のように森にかえっていった 冒険の書が消えた日、気が触れたぼくはわけもわからずに泣いた 三島由…

孵化

空想のなかでうまれて 空想のなかで死んでいく無数の命 中指にペンだこをつくることのなくなった現代人 その物語の誕生秘話、奇蹟が重なり鳶が鷹を産んだ 結局ぼくがまもることのできるのはたったひとりで ぽつんと凍土に生み落とされ生暖かい雨の日に孵化し…

不自然なふたえまぶた

腫れぼったい、ふたえまぶたに恋をしたおとこの子は幾つになっても瞳の奥に恋をするあさ、鏡のまえでつくったふたえまぶたはその不自然さが美しいきみの瞳が輝いているのは教科書を読んでいるときではなく漫画を読んでいるときだ夜になると眠くなってまぶた…

すきなひとはいますか

ぼくのよこでずっと笑っていてくださいと彼は言ったけれどそれにそれほど重要な意味があると気付かなかった彼女はわたしはいつも笑ってるように見えるけどあなたの見ていないところで泣いているのよと答えたそうじゃないんだ、きみの笑顔が僕のたからものな…

永遠にはデリカシーがない

腫れものにさわるように 傷つけないように 傷つかないようにしたのが逆効果 かえってきみを傷つけてしまったようだ そんなことなら最初からえぐい三角形の 彫刻刀のようなので傷つけてしまえばよかったと後悔する 傷モノにされたわたしが今あなたを恨んでは…