音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

終わりのない音楽

終わりのない音楽を聴きながら

ながい眠りにつく

あなたの胸元にわたしの耳が

ふれるくらいのところに枕を並べて目を閉じる

いま からだのまわりをまもる

薄い膜がゆっくりと剥がされている

わたしのしろいかかとが

止まった時間の中で

宙に浮いて揺らいでいる

うつ伏せのまま大人の持ち物検査をされている

やがて抑揚のない音楽は

終焉へと下降していく

進入禁止の標識の矢印の先の階段を

下っていくとそこは新世界だった

崩壊した通天閣が見えた 沈黙の時間がつづく

肝心なときに 適切な言葉がでてこない