音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

カビキラー




いまぼくは目の前のカビがはえたパンをながめている 

ジメジメした梅雨が好きだ

きみは3年間開けたことのない冷蔵庫を開ける勇気はあるかい

高価な楽器ほど湿気に敏感で梅雨になるとカエルがつぶれたような音で鳴く

 
カエルの大合唱がいっせいに鳴き止む

静寂 宝石みたいなしずくが 水たまりにおちる