音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

WHERE IS HE?

              姿が見えていた夏

              声が聞こえていた秋

              肩をたたくことの出来た冬

              そして二度と来なかった彼との春



              だが彼はいまもなお繰り返し訪れる

              沈黙の彼方から音を連れて

              私たちの耳に



              眼に見えぬ世界からの波動にふれて

              微かに震える鼓膜

              音の原子によって創られた

              意味を超えたもうひとつのリアル



              そこに彼はいる

              あたらしく生まれる音 甦り続ける音に

              すこやかな耳をすまして