音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

谷川俊太郎さんの詩

WHERE IS HE?

姿が見えていた夏 声が聞こえていた秋 肩をたたくことの出来た冬 そして二度と来なかった彼との春 だが彼はいまもなお繰り返し訪れる 沈黙の彼方から音を連れて 私たちの耳に 眼に見えぬ世界からの波動にふれて 微かに震える鼓膜 音の原子によって創られた …

月影音

月 あこがれは そらのかなたへの たび 影 かげをつくるのは ひかり 音 きこえる? とおいおと ちかいおと 詩 谷川俊太郎さん 書 乾千恵さん 写真 川島敏生さん

あお 「谷川俊太郎」

【 あ お 】 よるのやみにほろぶあおは あさのひかりによみがえるあお あおのかなたにすけているいろはなにか うみのふかみににごっていくあおは そらにたかみにすみわたるあお あおのふるさとはどこか こくうをめざせばそらのあおはきえる てのひらにすくえ…

谷川俊太郎「『はだか』より

【 と お く 】 わたしはよっちゃんよりもとおくへきたとおもう ただしくんよりもとおくへきたとおもう ごろーよりもおかあさんよりもとおくへきたとおもう もしかするとおとうさんよりもひいおじいちゃんよりも ごろーはいつかすいようびにいえをでていって…

谷川俊太郎 『はだか』 より

【むかしむかし】 わたしはうまれたりしんだりした すっぱだかでめをきょろきょろさせていた いまのたいようとおなじたいようが あおぞらのまんなかでぎらついていて いまのかぜとおなじかぜが くさのうえをさあっとふいてきた がっこうはなかったけれどわた…