音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

早春賦

水風呂のなかからうまれた魚は死んだ目をしている
が その深海魚みたいなさかなは
浴槽の底の水垢でくろずんでいるあたりで
6億年くらいじっとして棲息して
ぱぱとままがまだ なかよしだったころの
はだかのぱぱとままの そのまんまのすがたを 
シーラカンスのうまれかわりとして記憶している
13世紀後
そのさかなは100万円で売れた
目がダイヤモンドのように輝いていたからだ
皆既日食を肉眼で直視しても目がつぶれなかった
僕の目はまだギラギラと覚醒した目の輝き放つている
ピチャピチャと音をたててふる雨の雫を
ペットボトルにためて一気飲みした
その早春のまだ一欠片も穢れてない雫の
こころが透き通るようにからだに浸透していくことをかんじながら