音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

金曜のおはよう

金曜日の男は金星人であった。
月曜から木曜までの四人の男と同じ電車で通勤していた。
われわれが宇宙人であることは、
三者からみて識別することはできなかった。

それぞれのふるさとの星には、
それぞれの男をまっているひとがいた。

先頭車両のドアが開き水曜日の男がホームに降りた瞬間、金曜日の男は彼の痩せた背中をつき押した。
警察を呼べ、月曜日の男は動揺で気持ちが逆撫し電車の非常ベルを押した。
ベントラー、火曜日の男が木曜日の男に向かって泣き声でそう叫んだ。