音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

UCHUJIN

足元から雨が降った

七夕の夜、足元から雨が降った 地面から水が滲みて濡れていくのを 足裏で感じていた。 空気は渇いていたが空に星は見えなかった。 天上からきこえる鼓笛隊のリズムは全く空気を 震撼させずに直に胸に響いてきた。 指先の血管が葉脈みたいに膨らんで 手の平を…

金曜のおはよう

金曜日の男は金星人であった。 月曜から木曜までの四人の男と同じ電車で通勤していた。 われわれが宇宙人であることは、 第三者からみて識別することはできなかった。 それぞれのふるさとの星には、 それぞれの男をまっているひとがいた。 先頭車両のドアが…

木曜梅雨の合間に

甘噛みする犬へ。 犬よおまえは何故甘噛み(本気でガブと噛まずに調整)するのだ。 おまえをそんな我儘な犬に育てたつもりはない。 飼い主である紳士は弱りも五十を超え、 新聞を八つ折りにして読んでいる。 犬に与える餌と同じ食事を食している(おもにダシ…

水曜地獄級

川村貞雄は栄養失調であった、栄養不足を解消するため、 醗酵したものの食事を主にした。 納豆、麹味噌、酒、ヨーグルトなどを 器に溶いて混ぜた。 生鮮食品にはない曖昧な味がした。 酵母の精製に没頭、嘔吐を繰り返しながら研究を続け周りから気持ち悪がら…

火曜日の悪戯

ジャンピング太郎は、瞬間移動が得意だ。 屋久島の千年杉から浅間神社、筑波峰から水無川へとかっとんだ。 太郎は花嫁募集中であった。 最悪の場合花嫁はオークションで落札し 黒猫便のトラックに乗って家に嫁ぎにくる、それでいいとおもっていた。

月曜日の憂鬱

水の匂いを嗅いだ。 前髪が水に濡れた。 男は伸び過ぎた鬱陶しい髪を切った。 男は財布と鞄と、ドアのキーと 大切ではあるが、生きていく上で 其れ程必要ではないものは全て捨てた。 屋内で飼っていたドリーという愛犬も一緒に捨てた。

雨中人 UCHUJIN

どうぞ つめたい雨に 肩が震えているよ おおきな瞳が 濡れてるよ

宇宙からやってきたヒーロー

宇宙人とコンタクトできるギタリスト