#小説
その日の夜は霧が出た。 明け方になるとあたりは白い靄につつまれ眠っていた仲間の眠りを深くした。 相太と淳平は眠れずに甲板に腰かけていた。 「淳平、静かな海だなそれにしても視界が悪い、見知らぬ国の陸地が迫っているような錯覚になる」 「先輩、幽霊…
淳平は卒業後、某商船大学に入学した。 淳平の偏差値は高い部類であったのでがむしゃらに受験勉強した記憶はない。 淳平はヨット部に入った。映画、裕次郎の「太平洋ひとりぼっち」や アランドロンの「太陽がいっぱい」に憧れたのである。 淳平は色白痩せ型…
山口みすゞは国語の先生である杉谷先生がすきだった。 ゲジ眉先生、一部男子生徒の間で先生のことをそうよんでいた。みすゞはそんな身体の一部を悪あだ名で呼ぶクラスメートが許せなかった。 杉谷先生は時間があれば職員室で広辞苑を熟読していた。その姿は…
七夕の夜、足元から雨が降った 地面から水が滲みて濡れていくのを 足裏で感じていた。 空気は渇いていたが空に星は見えなかった。 天上からきこえる鼓笛隊のリズムは全く空気を 震撼させずに直に胸に響いてきた。 指先の血管が葉脈みたいに膨らんで 手の平を…
写真・・元気くん てなわけで今、南面の外壁工事中です たぶん明日も大勢の車力さんやら武力さんらがやってきます そんなことしなくとも原因は数ミクロンの穴なのに 大げさな足場が組んであります ここがどこだかわかならくなります たぶん日本ではないはず…
写真//元気君 私たちは可の王国の入り口に立っている。 彼は、その磁界の結界を解除しはじめた。 それはぶつぶつ念仏を唱える儀式に思えた。 わたしは、そのよこで 相変わらず魂の抜けた無表情な顔だわ、 と思ったが口には出さなかった。
わたしが、「るんこちゃんよねおなかすいてるの?」 ときくと 「おやつの時間にでるのは、ニボシや干しブドウばかり わたしのすきなバナナやマンゴーがたべたい」 というので、わたしはリュックのなかからバナナを とりだし、「先生には内緒よ」 といってバ…
挿絵 グスタフ画伯 彼が死んだ。 白くて透明に近ぃ肌の色、 まだ若い男の子の象。 前日まで普段とかわりなく元気で食欲も旺盛だった彼。 正直彼が死んだと聞いたとき、 こわくて顔をあげれなかった。 彼の死体をみるのが嫌で、部屋にとじこもった。 と同時…
甚次郎。擦り切れた襦袢にその裾を今流行りの股下三寸ばかり 固結びで絡げて托し上げ、遠縁にあたる亡き叔父の従兄の甚の字から 一文字とつた名前。長男であるのに次郎たるやこれ如何にと級友からからかわれること常である。 須練界隈から巷の勾蹲界隈かけて…
時代背景 大正modern わたし 母の琴。写真参考 絵:グスタフ画伯
しろい砂浜とおおきな椰子の木と エメラルドの海と水平線に沈む真っ赤な太陽 ここは太鼓と笛の音が夕闇にこだまする島 ものごごろついたときから おとうさんはいませんでした おかあさんのすむ島から離れ 独り暮らしをはじめてずいぶん月日がたったので もう…
いつも着物がお似合いのおふくさんから回ってきたバトンです。 その名も「大切な人バトン」 あなたのスキな人の名前を7人述べよといっても、おふくさんと メンバーほぼおんなじで、しのぶさんとこで旅した、こうちゃんよんできた *おふくさん *ぴーたー・…
ぼくは悪魔 人を欺いて騙して 花に水を遣らないで枯らす
このまえ 共同駐車場の 除雪をしていたら 女の子がやってきて スコップで一生懸命、除雪をはじめた ぼくは、ちらっちらっ とよこめでみながら みてみぬふりをして いましたが、だんだん ちかよってみたくなり 1メートル くらいそばに よっていって なにか …
女「もしもし」 男「もしもし、あ、おまえか。おい今いったい何時だよ」 女「AM3:30。。すごい迷惑な女でしょ。。急に声がききたくなって。」 男「こんな時間になんだよ。。いやおれ。。じつはいま変な夢見てたんだよ。。」 女「どんな夢?」 男「あ~…