音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

童話・ファンタジー・メルヘン

飼育係の日記 3

写真//元気君 私たちは可の王国の入り口に立っている。 彼は、その磁界の結界を解除しはじめた。 それはぶつぶつ念仏を唱える儀式に思えた。 わたしは、そのよこで 相変わらず魂の抜けた無表情な顔だわ、 と思ったが口には出さなかった。

飼育係りの日記 2

わたしが、「るんこちゃんよねおなかすいてるの?」 ときくと 「おやつの時間にでるのは、ニボシや干しブドウばかり わたしのすきなバナナやマンゴーがたべたい」 というので、わたしはリュックのなかからバナナを とりだし、「先生には内緒よ」 といってバ…

飼育係りの日記

挿絵 グスタフ画伯 彼が死んだ。 白くて透明に近ぃ肌の色、 まだ若い男の子の象。 前日まで普段とかわりなく元気で食欲も旺盛だった彼。 正直彼が死んだと聞いたとき、 こわくて顔をあげれなかった。 彼の死体をみるのが嫌で、部屋にとじこもった。 と同時…

腹びれのあるバンドウイルカ

しろい砂浜とおおきな椰子の木と エメラルドの海と水平線に沈む真っ赤な太陽 ここは太鼓と笛の音が夕闇にこだまする島 ものごごろついたときから おとうさんはいませんでした おかあさんのすむ島から離れ 独り暮らしをはじめてずいぶん月日がたったので もう…

くろい壁画

鍾乳洞のおくふかく はいってったら そのまたおくに ちいさな ほらあながあり まっくらだったので てさぐりで すすんでいったら あたまを いきどまりの壁にぶっつけた たんこぶできて、めのまえに星がまわった ナウマン象の遠吠えと牙がチラリとみえたので …

すっぱいぱん

すっぱいぱん すっぱいぱん こじんまりした すこしあやしい おみせで かってきたぱん (ひげの濃いおにいちゃんがやってるみせだった) まず、 なまで そのまま くちゅくちゅ ほじって たべたけど きもちわるく なるくらい すっぱいの だから 焼いてたべてみ…

あおざめくんの物語クリスマス

クリスマスなのできょうは早おきして 手を合わせてお祈りしたんじゃなくて しあわせの お裾分けをいただきに ぼくのすむのしまから 北緯32度のところにある ちいさな島の教会のチャペルで 結婚式があるというので さめ肌のからだに オリーブオイルを塗りた…

癒しの風

このまえ 共同駐車場の 除雪をしていたら 女の子がやってきて スコップで一生懸命、除雪をはじめた ぼくは、ちらっちらっ とよこめでみながら みてみぬふりをして いましたが、だんだん ちかよってみたくなり 1メートル くらいそばに よっていって なにか …

midnight call

女「もしもし」 男「もしもし、あ、おまえか。おい今いったい何時だよ」 女「AM3:30。。すごい迷惑な女でしょ。。急に声がききたくなって。」 男「こんな時間になんだよ。。いやおれ。。じつはいま変な夢見てたんだよ。。」 女「どんな夢?」 男「あ~…