音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

先生

山口みすゞは国語の先生である杉谷先生がすきだった。

ゲジ眉先生、一部男子生徒の間で先生のことをそうよんでいた。みすゞはそんな身体の一部を悪あだ名で呼ぶクラスメートが許せなかった。

杉谷先生は時間があれば職員室で広辞苑を熟読していた。その姿は他の先生方が声をかけれないような威圧感があった。

みすゞは友達のタマ子に言った
「わたし先生のこと考えると、胸がキトキトする。少女漫画の読みすぎかもしれないけどさ、神さまこの淡い恋心が叶いますように。」
「でもみすゞ、先生の読んでる広辞苑さ、あ行から進んでいないの先生たちの間でも話題になってるらしいよ知ってた?」
「うん知ってた、まる暗記しないと先に進めないタイプ、そういう一途ところが好きなんだ。」

ジメジメ蒸し暑い日の午後、授業中に
やや強い地震があった。
タマ子は「あ、地震」と叫んで立ち上がり窓の外をみた。
みすゞはすぐ先生の方をみた。
先生と目が合った、見つめあっていた時間は数秒だったとおもうが、先生は微動だにしなかった。