音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

♫♬ウタリンコの詩♫♬

淳平

夏が短く秋が長いとそのぶんもの想いに耽る時間が長くなる。淳平はかつて占い師に、水難の相があるて言われたことが気になって仕方なかった。相太は看破に折り畳みのテエブルを広げた。「淳平、賭博を教えてやろう」と花札の札をだして猪鹿蝶の絵札を並べた…

淳平

その日の夜は霧が出た。 明け方になるとあたりは白い靄につつまれ眠っていた仲間の眠りを深くした。 相太と淳平は眠れずに甲板に腰かけていた。 「淳平、静かな海だなそれにしても視界が悪い、見知らぬ国の陸地が迫っているような錯覚になる」 「先輩、幽霊…

淳平

宗馬相太はヨット部のキャプテンであった。 終戦記念日の翌日、ニュースは200海里付近で一隻の日本の密漁船が拿捕されたと報じた。日本政府はただち船長をはじめ乗組員のに釈放を要求したが、某国から何の音沙汰はないまま数日が過ぎていた。一等航海士であ…

淳平

淳平は卒業後、某商船大学に入学した。 淳平の偏差値は高い部類であったのでがむしゃらに受験勉強した記憶はない。 淳平はヨット部に入った。映画、裕次郎の「太平洋ひとりぼっち」や アランドロンの「太陽がいっぱい」に憧れたのである。 淳平は色白痩せ型…

先生

「許されるものと許されないものを細分化して校則規約に明記するべきだとおもいませんか」 風紀委員の顧問をしている杉谷先生は詩子先生に言った。 「悪事を起こした生徒に君が悪いと決めつけるのってどうなのかしら。悪魔が生徒を操った、わたしはそう考え…

先生

他愛もない日常からうまれる愛に美徳があるとすれば、永遠や未来にはデリカシーなど存在しない。 杉谷先生の親父は漁師だった。 「かにまる」という漁船で漁に出てイカやタコなどを水揚げし生計を立てていた。 杉谷先生は 「海の日に海の家の浜茶屋でかにま…

先生

淳平が学校を休んだので、その日の夕方詩子先生は淳平の家を慰問した。 玄関を開けると母親が出てきた、淳平は自室で寝ているというので、ふたりで色々話すことができた。「先生、先日はご迷惑をおかけしてすみません、あれ以来息子は朝がきても泥のように眠…

先生

河童に脚を引っ張られた少年。 淳平の名前は学校中に広まった。 淳平はもともと痩せ型であまり血色の良い方ではなかったが、事件後はいちだんと顔色が青白くみえた。 淳平が通り過ぎたあとの廊下はしっとり水で濡れていると噂するものまでいた。閑地の池の周…

先生

陽炎が熱風のなかで揺れていた。 夜になっても風は止んだままで、気温は下がらず微熱がからだのなかに残っていた。 みすゞは今までに3回気絶したことがある。 なにがどうなったのか、そのあいだわたしがどうなっていたか、みすゞ自信にはわからなかった。 ま…

先生

山口みすゞは国語の先生である杉谷先生がすきだった。 ゲジ眉先生、一部男子生徒の間で先生のことをそうよんでいた。みすゞはそんな身体の一部を悪あだ名で呼ぶクラスメートが許せなかった。 杉谷先生は時間があれば職員室で広辞苑を熟読していた。その姿は…

夕焼け空

おつきさまも結婚するのね だれとって もちろん太陽とでしょ? 太陽と友達だからつい もう一回でなおしてこい そういってやったの そしたら 帰り道はみんなで帰ろう だってさ しかたなく 俺は口笛吹きながら帰路についたさ 尾っぽを東にむけてたから 西の空…

トイレの花

. いちばん 落ち着く 場所 トイレ うれしいことも かなしいことも いろんな想いを つめこんで いやなことは 水にながしてさようなら とっておきの 空白の時間 花になった あの人と まだしばらく ここから動けそうにない私 私を拉致して 真っ赤な車でさらって…

Suite Ⅵ

. 最初にさそったのはわたし 8月の雨 春の雪 草原の上でねっ転がって わたしをよろこばせてくれたあなた 恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート むろんいまでも全うな言葉では話せない ほんとはもっと酔いたかったんだ、あのとき 愛しあえないまま 時が…

ニオイ袋

どの部屋に泊めてくださるかは貴方まかせでした クリックしただけで好きになってしまったヒトでしたし 7つの袋を持っていることは後でわかったことでしたが 気づいたらもうかなりヤバイところまで来てました フローラの香りなんてとんでもないデマでした 豚骨スープの…

すかしっぺ

わたしはもともと胃腸が弱いせいか なんでも よく噛まないで食べるからかもしれませんが おならがよくでます いちばんすきなのは おふろのなか ぶくぶくと沸きあがってくる泡泡 過去に お見合いしてるときおならをこいて 破談になったこともあります 気持ち…

愛に溺れないように

ドスのきいた声で歌うシャンソン 歪んだ音色のバラライカ ポケットサイズのガムラン そっと口ずさむ程度の愛がいい .

咬まれる恐怖

手を噛まれるというか 噛み付いてくるお前の両あごを必死で広げないと まるごと呑み込まれてしまうきがした 指には生々しい歯型の感触がくっきり残っていた 眠れずに何時間も欲深い自分とたたかう あなたのことを想うとからだの中心が熱くなる 本気で愛し合…

幻滅の錯覚

ストーレートに 愛し合いたい 愛し合いたい 愛し合いたい 心のままに

ママから聞いた話

それはもともとなんの根拠もない話なのですが わたしがママから聞いた話によると わたしは100gあたり350円で売られていたらしいのです といってもわたしが 八百屋の秤にのせられていたという話ではありません そのころママはすでに美術館のまえの ひ…

師走になりましたが、風邪などひいていませんか

甘くて酸っぱい あとで読みかえすと 背中が痒くなるような 3文字メールを送る あ・の・ね ま・た・ね ドライブは見晴らしのよく それでいて風通しもよく 学級閉鎖の日が 小春日和 いつも なかよし3人組