音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

第2夜「彼女は誰かを救いたくて尼になった」

    そこはかなり霧の深い山奥の苔寺

    ひんやりとした空気は、乾燥した都会の空気とは違う。

    そこに1人の年老いたお婆さんが背中に体の半分以上を占める
    大きさの籠をかついでしゃがんでいる。

    横には三尺ほどの小さなほこらがあり、中に顔が朽ちかけてはっきりわからない仏様がいる。

    お婆さんは花を摘んで背中の籠に入れている。その時お婆さんがこちらを振り向いた。

    あ、この前会社に花の苗木を売りにきた婆さんだ。その時ぼくは小さな苗木をもらった。

    若い頃に尼さんになり、寺に入ったという話をそのとき伺った。


目が覚めて、庭に植えてあった苗木をみてみると、
冬の雪の重みで少し傾いていたので、まっすぐに直しておいた。