音楽を呼びさますもの

恋文を書くために埋め尽くされた練習ノート

第4夜「あなたはわたしの守り神?」

   体のなかに寄生虫がいる。

   昨日食べたサーモンの刺身の中に宿っていたに違いない。

   それは、どんどん長くなって、腸のなかで成長しているのがわかる。

   5cmが10cmに明日は20cmかクソっ、お腹がくすぐられる、体が蝕まれる。

   そんな馬鹿な、そいつは青大将のようにぐるぐると俺の体を支配し始めようとしてるのか。

   俺の心臓の鼓動とは別に、体内にもうひとつの鼓動が響いている。

   仕方なく俺は医学用の劇薬の瓶を手にとり蓋を開いた。

   白い煙が上がり、水性の絵の具のような、得もいえない異臭が脳を刺激する。

   俺はそいつを抹消するためその劇薬を一気に飲み干した。

   ゲボッ、畳の上にバタと倒れたところで目が覚めた。

先日、庭から進入し家の縁の下に入り込もうとしたところを、
親爺にみつかり鍬で切り殺された青大将。
その亡骸はまだ田の稲の切り株の下にいて、その鋭い眼はこちらを睨んでいる。